2018-05-24
スイスのローザンヌに拠点を置くビジネススクール、国際経営開発研究所(IMD)は5月24日(台湾時間)、2018年版「世界競争力ランキング」を発表した。中華民国(台湾)は評価対象となった63カ国・地域のうち17位で、昨年から3位後退した。アジア太平洋地域でも香港、シンガポール、中国大陸に次ぐ4位で、昨年から1位順位を下げた。
IMDによる評価の四大項目は、「経済状況」、「政府の効率性」、「ビジネスの効率性」、「インフラ」。台湾は今年、いずれの項目でも順位を落とした。「ビジネスの効率性」は昨年から5位後退の20位。主には小分類の「労働市場」の指標が昨年の26位から38位へと大きく悪化したことが原因。「意識と価値」指標も昨年の16位から23位へ後退。その他の、「金融」と「マネジメント」の2つの指標も昨年を下回った。
「経済状況」は昨年から2位後退の14位だった。そのうち「貿易」と「国際投資」の悪化幅が最も大きかったが、「雇用」と「物価」は昨年より良かった。「政府の効率性」は昨年の10位から12位へと後退したが、「租税政策」と「社会的枠組み」の2つの指標は昨年を上回った。一方で「ビジネス法制度」と「制度的枠組み」の順位は大きく後退した。
「インフラ」は昨年から1位後退の22位。そのうち「基礎インフラ」は昨年の30位から9位後退して39位に。「技術インフラ」指標も悪く、3位順位を落とした。「科学インフラ」は横ばい。一方で「健康と環境」は3位へ、「教育」は6位へと順位を上げた。
IMDの競争力ランキングにおける台湾の順位は、2009年の世界23位が近年では最悪。翌2010年には世界8位に躍進し、2011年はさらに世界6位に上昇した。しかし、2012年には7位、2013年には11位、2014年には13位へと後退。2015年には11位と反発したが、2016年と2017年は14位、そして今回はさらに17位へと後退し、過去9年で最悪となった。
この結果に対し、国家発展委員会(日本の省レベルに相当)の邱俊栄副主任委員は、構造的な問題をすぐさま解決することは出来ないが、政策が徐々に効果を発揮していくことで向こう数年間には順位の改善が期待できると述べた。
世界競争力ランキングのアンケート調査の対象は企業経営者であり、経営者としての考えや企業コストの角度から評価することが多い。台湾で行った労働基準法の改正は労働時間の短縮など、労働者の権益を保障する方向だったため、経営者の考えと企業コストの項目で大きく後退した。しかし、国家発展委員会の幹部は、「労働市場」の指標を単独で見た場合、順位が下がることは決して悪いことではないとしている。
「経済状況」の順位が2位後退したことについて国家発展委員会は、主には「貿易」と「国際投資」がそれぞれ19位と41位へと大きく悪化したことの影響だと説明。その主な原因は輸出先の集中と外国人による直接投資の順位が悪いことであり、アンケートに回答した企業経営者たちはこのため、産業の海外展開の調整が経済の見通しに影響することを懸念したのだという。
邱俊栄副主任委員は、輸出先が過度に集中していることを政府は重く受け止めていると説明、政府が推進する「新南向政策」がこの構造的な問題の改善を助けるとの見通しを示した。「新南向政策」とは、東南アジア、南アジア、ニュージーランド、オーストラリアなどとの幅広い関係強化を目指す政策。
邱副主任委員はまた、サービス貿易の面で長期的な貿易赤字状態にあることの原因の1つは、中華民国(台湾)が技術輸入国であることだと指摘、これについての対策も説明した。邱副主任委員は、政府が進める「5+2産業イノベーション計画」の中心となる考え方は産業の変革と付加価値の増大であり、計画が成果をあげればサービス貿易の赤字状況は解消できるとの見方を示した。
Sources:Taiwan Today;2018年05月24日
資料來源: 行政院国家発展委員会
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