2018-09-19
行政院金融監督管理委員会(金管会、日本の省レベルに相当)は18日、初めての「金融科技創新実験申請案」を認可した。台湾の電信最大手、中華電信ユーザーは、過去に金融機関におけるいかなる取引記録がなくても、中華電信の身元認証メカニズムを通して、台湾の凱基銀行(KGI Bank)で、クレジットカードおよび個人ローンの申請を行うことができるようになった。
「金融科技創新実験」は、金融レギュラトリー・サンドボックス(Regulatory sandbox、RS。規制の砂場とも呼ばれる)という革新的な新事業創出のため、対象者を限定し、現行法の規制を一時的に停止する規制緩和策だ。これは、学生や新社会人らを対象に、銀行の利用経験がない若者でも中華電信のユーザーであれば、凱基銀行のクレジットカードおよび個人ローンの申請を行うことができるというもの。中華電信との契約で連続6カ月間、通信費を滞りなく支払っていること、電信会社のブラックリストに載っていないことが条件だ。
金管会は、「金融科技創新実験」が成功すれば、今後のインターネット専業銀行の経営モデルになるとの期待感を示した。同実験は、12月5日に開始し、期限は1年間。
中華電信は処理済の顧客データを凱基銀行に提供し、凱基銀行が審査システムに基づき審査する。凱基銀行は、顧客は過去の支払いに遅滞がないか、あるいはその他の審査項目の結果によって、最終的にクレジットカード発行や個人ローンの認可を下す。
「金融科技創新実験」でのクレジットカードや個人ローンの申請条件は、一般の申請資格と同様、申請年齢は20歳以上、クレジットカード利用限度額が25万台湾元(約90万日本円)、個人ローンの貸付最高額が50万台湾元(約180万日本円)となっている。
今回の試行では、申請者4,000人に開放し、総額2億台湾元(約7億2,000万日本円)をあてる予定だ。ただし、総額1億6,000万台湾元(約5億7,600万日本円)に達した時点で、それ以降の新たな申請は受け付けない。そのほか、もし偽装申請が4件に至った場合、即座に実験は中断され、中止が言い渡される。
メディアからは、父母が申請して子供に携帯電話を持たせているケースや、名義は子供になっているが、支払いは父母が行っている場合などについて、中華電信の顧客名義と実際のユーザーが必ずしも同一とは限らないときは、凱基銀行がどのように申請人の審査を行うのかとの質問が出た。これについて金管会の総合規画処の林志吉処長は、「凱基銀行は顧客管理をコントロールメカニズムで制御している。例えば、通信費の支払いは父母の口座から自動振替しているが、子供が自分の名義でクレジットカードや個人ローンを申請した場合は許可されない」と説明した。
メディアはさらに、もし不正が4件見つかり中止になった場合、すでに凱基銀行が許可したローンは速やかに返済するよう求められるかについてたずねた。林処長はこのケースについて「凱基銀行が顧客と結んだローン契約は合法的に継続し、顧客が直ちに返済を要求されることはない」と述べた。
レギュラトリー・サンドボックは、イノベーション創成を促進するもの。金融テクノロジーの急速な発展に対応するため、一定のリスク管理範囲内で、企業が革新的な製品やサービスの試行が行えるよう、現行法の規制を一時的に受けないよう規制緩和が受けられる。
レギュラトリー・サンドボックを導入しているのは、英国、シンガポール、香港、オーストラリア。台湾では4月に「金融科技発展及び創新実験条例」が立法院(国会)において可決・成立し、世界で5番目に同制度を導入した国家・地域となった。しかし他の4か国・地域では不文法のため、台湾が世界で初めてレギュラトリー・サンドボックの特別法を制定した国家となった。
Sources:Taiwan Today;2018年09月19日
資料來源: 行政院ニュース広報処
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