2019-08-29
国立台湾大学(台湾北部・台北市)医学部の呉明賢教授と同大学生物資源及び農学部食品科技研究所の沈立言教授の研究グループが経口のカルニチン耐量試験方式(OCCT)の開発に成功した。トリメチルアミン-N-オキシド(trimethylamine N-oxide、TMAO)の生産量を測定することが可能だという。同グループではさらに、生のニンニクを食べればトリメチルアミン-N-オキシドの生産を減らすことが出来るほか、腸内細菌の制御、心血管疾患の改善も可能であることを証明した。研究成果は今年、消化器に関する国際的な学術雑誌、「Gut」に掲載された。
肉の赤身や卵に含まれるカルニチンは腸に入ると一部の腸内細菌によって分解され、トリメチルアミン(trimethylamine)となり、トリメチルアミンは肝臓で代謝されると、トリメチルアミン-N-オキシドを生み出す。過去の研究でも高濃度のトリメチルアミン-N-オキシドは動脈硬化や血小板の凝固につながり、心筋梗塞を引き起こすと指摘されていた。それによると、約10μMOL濃度で発症リスクが7%上昇するという。
しかし、赤身や卵のカルニチンを食べた人が全て同じようにトリメチルアミン-N-オキシドを生み出すわけではない。研究グループはこのほど、経口のカルチニン耐量試験を開発、検査薬服用前後24時間と48時間の採血でそれぞれのトリメチルアミン-N-オキシドの量を測定する。その結果、肉食中心の人たちがトリメチルアミン-N-オキシドを生産する力はベジタリアンの10倍だった。また、心血管疾病を患い、血管中のステント手術を受けたことのある患者が試験を経て菜食へと習慣を改めたところ、トリメチルアミン-N-オキシドの量は減ったという。
この研究はまた、生のニンニクを食べることで、体内で生産されるトリメチルアミン-N-オキシドを減らせることを発見。同研究グループでは研究結果から、体重60kgの成人なら毎日、生のニンニクを1かけ(1片)から3かけ(3片)、すなわち5gから10g食べることで心血管疾患を予防できる可能性があるとアドバイスしている。生ニンニクはアリシンが相対的に多いことで効果があり、加熱してしまうとアリシンは大きく減少するとのこと。
過去にも被験者の空腹時に1回採血して測定するという実験を行ったグループもあるが、トリメチルアミン-N-オキシドは尿によってすばやく代謝されるため測定されてもその値は低かった。このほど開発に成功した方式ならば、カルニチンを摂ってからのトリメチルアミン-N-オキシドの生産力を把握することが出来る。現在は血液検査が主な方法だが、将来は尿検査での測定を目指している。
この研究グループが開発した方式は世界でも初めてのもの。同グループは米国と台湾ですでに「先期」特許を取得しており、今後は臨床での応用が始められるもよう。将来は個々の患者に合わせた栄養食や心血管疾患の予防への応用、そしてバイオマーカーでのトリメチルアミン-N-オキシドに関する基準になることも期待されている。
資料來源: 科技部
Juiker アプリ - 無料通話
一緒に Juiker しましょう