2020-01-20
行政院(内閣)の蘇貞昌院長(首相)は9日、行政院会(=閣議)で行政院農業委員会(日本の農水省に相当)による「農業行政の成果と見直し、及び今後の重要措置」報告を受け、農業は国の根本であり、農業政策は農家全体の豊かな暮らしに関わるものだと改めて強調した。
今年1月からは、農地で農業を行うことへの補助、食品トレーサビリティシステム参加への補助、そして農産物の初期加工管理制度などの新政策が始まっており、小規模農家でも高付加価値の農産物を生産し、収入を増やせるようにしている。また、政府はアフリカ豚コレラの侵入を引き続き防ぐと同時に、口蹄疫のワクチン非接種洗浄地域の申請認定が可能になり、アフリカ豚コレラへの水際対策も功を奏しているこのタイミングを利用して「新農業循環園区」を推進、台湾における養豚産業の経営効率をいっそう高め、海外への売り込みを可能にする。
蘇行政院長によると、農業行政は3つの大きな成果を上げている。農家への支援では「農民健康保険」を拡大し、実際の農業従事者は全て加入できるようにした。また、職業災害保険を設け、農家は毎月15台湾元(約54日本円)納めることで4つの保険給付が受けられるようにした。さらに農業保険を引き続き拡大。政府が最大で保険料の半額を負担することで、農家はより保障された形で農産物を生産することが出来、天候によって生活が左右される心配をなくした。そのほかにも、大小農機具を購入する場合の補助、肥料価格の引き下げなどで農家の生産コストを減らす一方、農家や漁業者の子女を対象とした学費補助を引き上げた。
蘇行政院長はまた、各省庁が力を合わせ、国民が共に協力したことで政府はアフリカ豚コレラを防いでおり、アジアで侵入が確認されていないのは台湾と日本だけだと強調した。口蹄疫については、23年間の努力を経て昨年7月に非ワクチン接種洗浄国の認定を申請できるようになった。今年5月に国際獣疫事務局(OIE)の認定を受けられれば、台湾の豚肉は再び全世界に輸出できるようになる。さらに政府は水利施設の建設を強化し、灌漑範囲を4,600ヘクタール近く増やしており、農業インフラもますます健全化している。
遠洋漁業の面ではEU(欧州連合)が台湾漁船のIUU漁業(違法操業・無報告・無規制)に対する中華民国政府の対策が不十分だとした「イエローカード」警告を解除させることに成功。さらに南インド洋漁業協定に加盟、正式な会員国となった。また、法整備を通じて有機農業を広げ、そのカヴァー率はアジアでトップとなっている。農産物の輸出は年々拡大しており、昨年の輸出量は約230万トン、金額ベースで1,700億台湾元(約6,175億日本円)あまりとなり、いずれも過去最高を更新した。新鮮な果物の輸出は前年比で42%の大幅な成長を果たした。台湾産グアバの対米輸出にも成功。中華民国(台湾)は世界で米国へグアバを輸出できる2カ国のうち1つであると共に、新鮮なナツメを韓国に輸出できる唯一の国となった。
行政院農業委員会では今後の政策として、農業従事者の定年退職制度の整備、青年農家の創業支援、農業保険法の制定、農業環境給付の実施などを挙げ、しっかりとした行動で政府の努力を農家が実感できるようにするほか、農業のレベルアップを契機として持続可能な農業の新たな時代を切り開いていくとしている。
資料來源: 外交部