2020-06-08
蘇貞昌行政院長(首相)は4日の閣議で、経済部(日本の経産省に相当)による「高科技研発中心-領航企業研発深耕計画」の報告を受け、台湾をアジアにおける「高階製造(ハイエンドの製造)、高科技研発(ハイテクの研究開発)、半導体先進製程(先進的な半導体製造工程)」センターへと建設する方針を示した。
蘇行政院長によると、政府は近年、投資環境の改善に取り組むと同時に、米国と中国大陸との貿易摩擦の中で情勢の変化を見極め、国を発展に導くため2019年から「投資台湾3大方案」(台湾向け投資3大計画)を積極的に推進してきた。その結果、これまでに承認した投資額は合計1兆台湾元(約3兆3,630億日本円)以上に達し、そのうち5,800億台湾元(約2兆1,070日本円)は今年末に投資が実現するという。
新型コロナウイルスによって世界の経済秩序ならびにサプライチェーンが再編成に直面していること、ならびに香港の情勢が悪化していることがアジア太平洋地域と全世界に地政学的な影響をもたらしている。こうした急激な変化に向き合い、台湾は自らの役割と位置づけを見極め、発展のための基礎を見出し、産業の優位性をいっそう強化していくことが非常に重要となる。
台湾は今回、新型コロナウイルスの「民主的封じ込め」に成功した。この経験は世界の手本となったほか、台湾の投資環境に対して国際社会が自信を深めることにもつながった。台湾の開放的な態度、透明性、民主主義と法の支配、そして優れた情報セキュリティ環境はいずれも、多国籍企業にとって信頼のパートナーシップを築くに足る要素であり、これらは台湾経済の将来的な発展に向けて最も重要な基盤となるはずである。
蘇行政院長は、政府は関連の政策で、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、クラウドサービス、半導体製造設備などの国際的な大手企業を台湾に誘致して投資させていくと強調、これはすなわち最も優良な企業を最も優良な工業団地に呼び込むことで、双方の優れた「格付け」が互いを助ける状況を作り出すことだと説明した。蘇行政院長は、それぞれの優位性が助け合う互助互恵の協力関係は、台湾がハード面で持つ強力な受託生産の力をさらに一段引き上げ、一気に台湾をアジアにおける「ハイエンドの製造、ハイテク技術の研究開発、半導体の先進的な製造工程」センターへと成長させると期待、それによって整えられるサプライチェーンは台湾の末永い経済成長のための強固な基礎となり、より多くのビジネスチャンスと雇用機会を生み出していくだろうと述べた。
蘇行政院長は、経済部による「高科技研発中心-領航企業研発深耕計画」を同部と科技部(日本の省レベル)など関係省庁が力を合わせて推進し、台湾に有利な投資項目で海外の大企業を引き付けるよう指示、これにより台湾の国内投資と産業の研究開発力が引き上げられることに期待した。また蘇行政院長は、同計画を推進していく中で優秀な人材を育成し、若者が力を発揮できる機会をより多く提供していくよう求めた。
一方、蘇行政院長は、多国籍企業が台湾に投資する場合、工場や事務所を設ける場所がこれまで台湾北部に偏っていたことに言及、関係省庁に対し、今後は台湾中部や南部に「産業園区」(工業団地)や研究開発センターをより多く設置していくよう注文をつけた。
経済部によると、「領航企業研発深耕計画」は「Research」(多国籍企業の台湾における充実した研究開発)、「Co-innovation」(台湾企業と多国籍企業の提携から生まれるイノベーション)、「Development」(台湾企業による応用サービスの発展につながる仕組み)を主な推進構造とする。現在の国際情勢、台湾の持つ優位性と市場面での現況に基づき、新たな半導体、次世代通信産業、人工知能(AI)の3大核心技術の発展を優先的に推し進めていく。
予想では、新たな半導体のサプライチェーンが発展すれば、2025年には468億台湾元(約1,700億日本円)の生産高を生み出し、派生する応用方法は4,000億台湾元(約1兆4,530億日本円)の規模となる。次世代の通信産業は5G(第5世代移動通信システム)の新たなオープンアーキテクチャ、キャリアクラスのネット周辺機器などをカバーすることになり、関連の生産高は2025年に5,700億台湾元(約2兆710億日本円)に達する。台湾のAIを使った産業ソリューションは2025年に3,600億台湾元(約1兆3,000億日本円)の生産高に成長、産業のAI化によって生まれる付加価値は累計7,500億台湾元(約2兆7,250億日本円)に達するという。
Sources:Taiwan Today;2020年06月08日
資料來源: 行政院
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