2021-04-19
行政院(=内閣)の蘇貞昌院長(=首相)は15日の閣議で、「半導体産業のグローバルサプライチェーンにおいて台湾は重要かつ先導的地位にあり、10nm(ナノメートル)以下の製造プロセスについては、世界の92%の生産能力が台湾に集中している。2020年、半導体設備市場における売上高で、台湾は世界第2の規模を誇った。政府は今後も、台湾が半導体のサプライチェーンで持つ優位性を維持し、拡大できるよう先手の支援を行いたい。具体的には関連規制の緩和や、産業が必要とする人材の育成に協力する。また、各県・市でサイエンスパーク(工業団地)の拡張や新設を強化して投資を引き付けたい。さまざまな手段を使ってクラスター効果を高め、将来の競争力強化につなげ、台湾が引き続きこの分野で世界をリードできるようにしたい」と述べた。
蘇院長はまた、「半導体産業は台湾の『護国神山(=国を守る神の山の意味)』であるばかりか、世界のデジタル経済の発展を支える基盤でもある。政府はサイエンスパークの設置に取り組み、台湾の半導体産業の発展の基礎を築いてきた。その結果、台湾には世界一の規模を誇る半導体のクラスターが形成された。台湾の半導体産業のサプライチェーンは、ICデザイン、ウエア製造、パッケージング・テストなどで世界トップレベルであるだけでなく、10nm(ナノメートル)以下の製造プロセスについては、世界の92%の生産能力が台湾に集中している。このサプライチェーンで持つ台湾の優位性をいかに維持し、拡大するか、そして産業が必要とする人材をいかに確保するかは、政府の先手の支援にかかっている」と述べた。
蘇院長によると、行政院が昨年11月に閣議決定して立法院(=国会)に提出した「国家重点領域産学合作及人材培育創新条例」は、関連の規制を緩和するだけでなく、高等教育機関との産学連携により柔軟性を持たせるもの。つまり、高等教育機関が企業と協力し、産業が必要とする人材を育成できるよう認め、半導体に関する研究・開発センターの設置、重点領域の学部・学科の募集定員の増加、海外からの人材誘致などの方法により、人材の安定供給を目指す。
また、行政院は近年、高雄橋頭科学園区(台湾南部・高雄市)の新設や南部科学工業園区台南園区(台湾南部・台南市)の拡大を相次いで決定。最近は嘉義(台湾中南部)や屏東(台湾最南端)にも新たにサイエンスパークを新設する計画を明らかにしている。政府は積極的に産業の空間を切り開き、投資をさらに誘致し、企業が台湾に根を下ろし、産業のクラスター効果を高められるよう支援している。
国際半導体製造装置材料協会(SEMI)が今月14日に発表したレポートによると、昨年の世界の半導体設備市場における売上高で、台湾は世界第2の規模だった。今後も半導体設備市場は成長が期待されている。これに関して蘇院長は「台湾は半導体産業で現在世界をリードしているが、これからもリードしていかなければならない」と述べ、科技部(日本の文部科学省に類似)が管轄するサイエンスパークに対して今後も半導体産業の発展を支えるよう指示した。また、行政院科技会報弁公室(BOST)に対しては関連省庁との協力を、経済部(日本の経済産業省に相当)に対しては地方の産業高度化への支援を要請し、国際情勢の変化に対応しながら今後も競争力を強化することを求めた。
Sources:Taiwan Today;2021年04月19日
資料來源: 行政院