日本の日立化成の対台投資 南科新工場正式稼動へ
日立化成株式会社 (2013年1月1日に「日立化成工業株式会社」から社名変更) は、シャロー・トレンチ分離 (Shallow Trench Isolation、STI) 用CMPスラリー (半導体回路平坦化用研磨材料) 生産工場を、海外工場として初めて台湾に建設し、2013年5月16日、田中一行社長により竣工式が挙行されました。経済部工業局の呂正華副局長、南部科学工業園区 (南科) 管理局の林威呈副局長、日本交流協会高雄事務所の中村隆幸所長も式典に出席し、新工場の竣工を祝いました。この工場の稼動により、台湾の半導体産業におけるキーマテリアルの供給体制がさらに整います。日立化成は2015年までにSTI用CMPスラリーの生産能力を50%増強する予定で、将来は他市場へ輸出できる可能性もあると考えられます。
日立化成株式会社は株式会社日立製作所の化学部門から独立した大手化学 (樹脂加工・機能性化学) メーカーで、世界最大のリチウムイオン電池用負極材製造会社であり、同社の製造する半導体材料は世界市場で大きなシェアを占めています。日立化学はSTI用CMPスラリーでも世界トップシェアを占めています。CMP (Chemical Mechanical Planarization、化学的機械研磨/平坦化) とは、半導体の素子分離工程や回路形成工程において発生した凹凸を研磨して平坦化する技術であり、CMPスラリーはその技術上に使用される研磨液です。同社では素子分離方法の一つシャロー・トレンチ分離 (STI) 用CMPスラリーを製造しています。
日立化成は経済部が投資誘致に特に力を入れている日本の大手企業の一つです。2010年から日立グループとの積極的な交渉を進めてきました。経済部は東日本大震災発生後、日本企業による海外生産支援基地確保、生産拠点分散といった動きの把握にいっそう努めており、そうした中で日立化成の在台工場設置は決定しました。
日立化成の南科新工場は、茨城県にある勝田工場から技術を導入し、同工場の第3世代の最新生産ラインをそのまま複製しています。今回の在台新工場建設は、日立化成にとって1970年のプリント基板工場設置以来、実に43年ぶり、2度目の対台投資・新工場建設となりました。海外生産基地の確保という面だけでなく、大きなニーズのある市場へのいっそうの接近、産業チェーンにおける川上・川下産業の統合という面からも、この投資の意義は小さくありません。16日の竣工式にも、国内半導体産業に対する日立化成新工場の価値の大きさを物語るように、台湾積体電路 (TSMC)、南亜科技 (NANYA)、矽品精密工業 (SPIL)、日月光半導体 (ASE) など国内半導体メーカーやICパッケージング・テスティング大手が多数出席しました。
工業局の呂正華副局長はあいさつで、台湾にはグローバルなバリューチェーン構築能力を有する産業が数多く存在し、また両岸間のECFA締結により中台関係の緊張もさらに解けつつある、日台間の貿易関係もますます緊密になっており、双方の企業が提携して中国市場、世界市場に進出している成功例も増え続けている、と述べました。このたびの日立化成による在台新工場設置は、同社にとって海外生産基地として意義深いだけでなく、日台の産業提携のさらなる緊密化・多元化を促進し、その国際市場での重要性を高めるだろうと結びました。
新工場は初期段階においては半導体前工程の28ナノメートル向けCMPスラリーを主に生産し、将来はシリカ (silica) 粒子を使ったCu配線用砥粒フリーCMP研磨剤の台湾導入も積極的に進める予定です。これをきっかけに、台湾の半導体川上業界におけるキーマテリアルの国内生産率が高まり、国内半導体メーカーの生産コスト削減、台湾半導体産業の競争力アップにつながることが期待されます。同時に、本投資案件を通じて、海外の半導体材料・設備関連企業による対台投資や国内企業との提携案がますます増えることも大いに期待しています。
資料來源: 経済部投資促進司